活動レポート report

現場の経験を伝える―修了生による大学での実践発表「小学校外国語科の授業設計」

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2026年7月9日、法政大学の教職課程科目「英語科教育法」(担当:石原紀子教授)にて、Teach For Japan(以下、TFJ)フェローシップ・プログラム第12期生で現職員の羽毛田元が登壇し、小学校外国語科の実践について講演を行いました。当日は、教職を将来の選択肢と考える学生16名が参加しました。

今回の講演の趣旨は、「英語科教育法」内の早期英語教育や小学校での外国語教育をテーマとした授業において、公立小学校における外国語科の実践を学生に伝えることです。TFJを通じて神奈川県の公立小学校に赴任し、外国語・外国語活動の授業を担当した経験を持つ羽毛田が登壇しました。

「なんで英語を勉強しなきゃいけないの?」という問いから

講演は、講義形式ではなく、学生に問いを投げかけながら進む形で行われました。

冒頭で投げかけられたのは、小学校に限らず、日本の学校現場で学習者からもよく聞かれるという、次の問いです。

なんで英語を勉強しなきゃいけないの?

学生一人ひとりが自分なりの答えを考えたところで、小学校学習指導要領の解説に基づいた視点が共有されました。外国語を学ぶことは、母語のように言葉だけに頼れない中で「どうにかして伝えよう」「相手を理解しよう」とする経験を通じて、コミュニケーションそのものを学ぶことだという捉え方です。

この考え方は、講演全体を貫く小学校外国語科の授業デザインの軸につながっていきます。

▼学生の声

「コミュニケーションについては、確かに私は英語でプレゼンなどをする際に、いつもよりも多くノンバーバルコミュニケーションを使用するなと気付かされました。そう考えた時に、コミュニケーションの手段においては、話し手の話したいという意思も大事だけれど、聞き手の理解したいという気持ちや態度も必要だなと思いました。」

そんな教室を、あなたはどうやって作りますか?

「伝えよう」「理解しよう」という姿勢は、教室が安心して挑戦できる場でなければ生まれません。ここで講演は、2つ目の問いへと進みます。

「どうにかして伝えよう」「相手を理解しよう」とチャレンジできる教室である必要があります。
そんな教室を、あなたはどうやって作りますか?

学生に考えてもらった上で、モチベーションの高い教室づくりに関する知見として、「話す勇気は、聞き手がつくる」という考え方が紹介されました。間違えたら笑われるかもしれない、うまく言えないかもしれない――そうした不安を学習者が抱える中で、聞き手の姿勢そのものが話す勇気をつくる、という視点です。

また、Murpheyらの研究によると、理想のクラスメイトをイメージすることで、自分の行動も理想のクラスメイトとして思い描いた行動に近づいていくとされています(Murphey et al., 2014)。より良い聞き手について考えることで、学習者自身がより良い聞き手になっていくことが期待されます。

授業の中で、どのような発問をしますか?

「伝えよう」「理解しよう」とする時間をどう設計するかという段になると、講演ではSTT(Student Talking Time)とTTT(Teacher Talking Time)の考え方、そしてPaul Nationの The Four Strands(意味重視のインプット/アウトプット、言語形式への気づき、流暢さの育成という4つの観点のバランスが重要)が紹介されました。

この考え方を実感してもらうため、3つ目の問いが投げかけられました。

授業の中で教科書の映像を見ます。みなさんはどのような発問をしますか?
(例:Unit 2 When is your birthday?|Here We Go! ⑤ 光村図書)

同じ映像を見る活動でも、「どんな話をしていた?」と問うか、「誕生日を聞く時にどんな表現を使っていた?」と問うかによって、学習者の言語使用が意味重視のインプットに向かうか、言語形式への気づきへ向かうかが変わってくることが確認されました。このような具体例を通じて、発問一つで学習者の学びが変わることが共有されました。

▼学生の声

「同じ活動でも、発問次第でそこから得られる学びは変わる、という視点が重要だと考えさせられた。だからこそ、授業に一貫性を持たせ、何を学んでほしいのか、達成してほしいのかを明確に持つことが重要であると考えた。」

キャリアに対する気づきも

講演後には、小学校外国語科の実践だけでなくキャリアに対する考え方の変化についても感想が寄せられました。

「私は小学校教員という道は今まで考えたことがありませんでしたが、今回のお話を聞いて、教育現場の根本である小学校教員も楽しそうだなと思いました。また、羽毛田さん自身の経験が多くあって、現在進路に悩んでいる私にとってはとても参考になるお話ばかりでとても興味深かったです。有難うございました。」

「これまで行き当たりばったりで進路を決めていて悩んでいたが、いつ人生が変わるきっかけに出会うか分からないと聞いて、前向きに考えるきっかけになった」

おわりに

今回の講演は、教職を目指す学生にとって、外国語の授業をどう設計するかを自分ごととして考える時間になったのではないかと思います。また、教員経験者との交流を通して、小学校外国語科の実践だけでなく、進路について立ち止まって考えるきっかけになった面もあったようです。

TFJは、フェローシップ・プログラムを中心に、様々な活動を通して「すべての子どもが、素晴らしい教育を受けることができる世界」の実現に向けて歩みを続けています。今回のような機会を通して、フェローとして得た学びや問いを、これから教育に携わる方々と分かち合っていけたらと思います。

参考:
文部科学省. (2018). 小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 外国語活動・外国語編.
光村図書. (2024). Here We Go! 5 | 広がる学び・深まる学び.
Murphey, T., Falout, J., Fukuda, T., & Fukada, Y. (2014). Socio-dynamic motivating through idealizing classmates. System, 45, 242–253.
Nation, P. (2013). What Should Every EFL Teacher know? Compass Publishing.

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