修了生インタビュー aluminiinterview

幸せに生きる力を育む。教師自身の在り方が、学校を少しずつ変えていく

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フェロー第12期生 長田亜美さん × 渡辺義征校長先生 対談

「すべての子どもが、幸せに生きていける力をつけていってほしい」
そんな思いを胸に、公立中学校に赴任した長田亜美さん。
長田さんが大切にしてきたのは、子どもたちに何かを教え込むことではなく、子どもたち自身が自分の思いに気づき、言葉にし、一歩を踏み出していけるような環境をつくっていくことでした。
「長田先生のような存在がいることで、学校の空気も少しずつ変わっていく」
そう語る校長先生。
今回の対談では、長田さんが大切にしてきた思いや子どもたちとの関わり、そして学校に多様な視点が加わることで生まれる変化の兆しについて伺いました。

ー長田先生の第一印象を教えてください。

第一印象は、「バイタリティがあるな」というところでした。見た目や話し方は落ち着いているのですが、考えていることや実際に動いていることを聞くと、「普通はそこまで行かないよね」「そんなことをやるの?」と思うようなところまで踏み込んでいくんです。
学校に長くいると、どうしても枠の中で考えがちになります。毎年4月に始まり、3月に終わる。その繰り返しの中で、外に出ることや、これまでにないことに挑戦する機会は多くありません。だからこそ、長田先生のように、思いを持って動いていく人は学校にとって貴重だと感じました。

「バイタリティ」と言っていただけたのは、とても嬉しいです。自分では、思ったら止まらないというか、「こうだ」と思ったら動き出してしまうところがあります。それは自分の個性でもあり、短所でもあると思っていました。
でも、校長先生にそう受け止めてもらえると、自分の中では突っ走っているように感じることも、学校の中で面白がってもらえたり、期待してもらえたりしているのかなと思えて、ありがたいです。

―長田先生が大切にしている思いは何ですか。

赴任してからずっと変わらず持っているのは、「すべての子どもが、幸せに生きていける力をつけていってほしい」という思いです。
家庭環境や個性、得意不得意にかかわらず、全員が自分の人生を幸せに生きていってほしい。そのために、私に何かお手伝いをさせてほしいという気持ちがあります。
ただ、その思いをそのまま言葉で伝えれば届くかというと、そうではないとも思っています。私は語ると熱くなってしまうタイプなのですが、「もっと幸せに生きるべきだよ」と話したところで、それがそのまま子どもたちに届くわけではありません。
だからこそ、自分がどうあるかを大切にしてきました。どんな姿で日々仕事をしているか、どんな姿で授業に臨んでいるか、どんなふうに子どもたちと関わっているか。そういう自分の在り方を通じて、間接的に伝えていくしかないと思っています。

その思いは、日々の姿から伝わってきます。勤務時間で見ると、決して楽な働き方をしているわけではありません。でも、楽しそうに仕事をしている。充実しているんだろうなと感じます。
子どもたちに「幸せに生きてほしい」と伝えるなら、まず教師自身がどう生きているかが大事だと思います。長田先生は、その姿を見せている人だと思います。

―学校の中で、どのような実践を行ってきましたか。

特に力を入れてきたのが、生徒会活動です。
授業や学級経営には、ある程度決まった枠組みがあります。一方で、生徒会活動には余白があります。子どもたちが自分たちで考えたり、自分の思いを表現したり、挑戦したりできる余地がある。だから、ここで何か面白いことができるのではないかと思いました。
もう一つ大きかったのは、市の取り組みである教育魅力化推進に関わる大学生の存在です。大学生が学校に来てくれて、生徒会の会議に同席したり、行事づくりを一緒に考えたり、休み時間に子どもたちと話したりしてくれました。
うちの学校の子どもたちは、とても素直です。先生が言ったことに対して、基本的には「わかりました」と受け止めてくれます。でも、たとえ先生が間違っていたとしても、「わかりました」と言ってしまうところもあるんです。
だからこそ、教師という立場の私には聞こえてこない声があると感じていました。先生には言いにくいことも、少し年齢の近い大学生には話せるかもしれない。そうした場があることで、自分の思っていることを表現できるようになり、自分がやりたいことを実現していく力にもつながるのではないかと思いました。
その中で嬉しかったのは、 子どもたちが「先生、それ違くないですか」と言えるようになってきたことです。それまでは、何か反論したい気持ちがあっても、「わかりました」で終わっていた子たちが、自分の違和感を言葉にし始めた。たとえ理屈がまだ整っていなくても、「私はそこに違和感がある」と言ってみるステップに入れたことが、すごく大きいと思いました。

大学生には、本当は毎日いてほしいくらいでした。学校の中に、先生でも友達でもない大人がいることは、子どもたちにとって大きいと思います。長田先生は、そこにうまく可能性を見つけていたと思います。

―生徒の変化で印象に残っていることはありますか。

印象に残っている生徒がいます。もともとはおとなしくて、言われたことをきちんと受け止めるタイプの子でした。その子が、ある時「こんなことをやってみたい」と自分の思いを言葉にするようになったんです。
地域のイベントに市長を呼びたいという話になった時も、その子が「市長に来てもらいたい」と言いました。そこで、ただ手紙を書くのではなく、直接会いに行って招待状を渡してみたらどうかと話しました。
実際に会いに行き、招待状を渡して、市長が学校に来てくださることになりました。その子にとっては、自分が考えて、言ってみたことで、社会が少し動いた経験になったと思います。

そういう姿を見られたのは、本当に嬉しかったです。
一方で、実現したいことに向かって進めていく難しさも感じています。自分がやりたいことを提案して、周りの先生方から意見をもらって、また考え直す。その繰り返しの中で、最初にあったワクワクが少し小さくなってしまうように感じたこともありました。
でも、学校は一人でつくっている場所ではありません。周りの人と一緒にこの空間をつくっているので、協力してくださる方とのすり合わせはもちろん必要です。そのバランスを取りながら、自分にできる幸せのサポートをしていきたいと思っています。

やりたいことがあっても、一対九になってしまっては動けない。長田先生は、そのバランスを取りながらやっているんだと思います。
でも、失敗したらやり直せばいいんです。失敗する前に不安になってやめてしまうことの方が、もったいない。まずやってみることが大事だと思います。

ー今後に向けて、どのようなことに挑戦していきたいですか。

大切にしたいことは、これからも変わりません。
「幸せに生きていってね」と本当に思っています。そのために、今目の前にいる子どもたちに何があったらいいのか、私に何ができるのかを考え続けていきたいです。
新しい1年生が入ってきたり、環境が変わったりする中で、その時々で必要なことは変わっていくと思います。だからこそ、目の前の子どもたちを見ながら、今できることを考え続けたいです。

長田先生には、思い残すことがないように、思い切ってやってほしいです。
とにかく、何でもやってみればいいと思います。失敗したら、やり直せばいい。失敗する前に不安になってやめてしまうことの方が、もったいないです。
Teach For Japanのように、学校の外での経験や多様な視点を持った人が関わることで、学校は少しずつ変わっていくと思います。長田先生を見ていて、その可能性を強く感じています。

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