特別免許状とは?仕組み・取得条件・普通免許状との違いをわかりやすく解説
- コラム
特別免許状とは?仕組み・取得条件・普通免許状との違いをわかりやすく解説
特別免許状とは、教員免許状を持たない人が、専門知識や社会人経験を生かして教師を目指せる教員免許状です。この記事では、制度の仕組み、他の制度との違い、授与までの流れや注意点を解説します。
まず結論:普通免許状がなくても専門性を生かして教師を目指せる制度
一言でいうとどんな制度か
特別免許状は、教職課程を経ていなくても、教科に関する優れた知識経験または技能を持つ社会人等を教師として迎え入れ、学校教育の多様化や活性化を図る制度です。
任命権者・雇用者の推薦に基づく教育職員検定を経て、原則として都道府県教育委員会から授与されます。任命・雇用を前提としているため、本人が免許状だけを先に取りに行く制度ではありません。
どんな人が対象か
対象となりやすいのは、企業、NPO法人、研究機関、大学、スポーツ、芸術、国際協力などで培った専門性を、特定の教科や子どもの学びに生かせる人です。文部科学省の指針では、教科に関する専門分野での勤務経験「おおむね3年以上」が基準の一つとして示されています。ただし一律の必須条件ではなく、資格、学位、競技・芸術実績、学校での指導経験、模擬授業等から専門性を確認する場合もあります。
審査では専門性だけでなく、社会的信望、教師の職務に必要な熱意と識見、任命権者等による推薦、第三者の評価なども確認されます。
特別免許状の基本を整理
だれが授与するのか
原則として、都道府県教育委員会が教育職員検定を行い、合格者へ授与します。推薦するのは、採用を予定する教育委員会や学校法人等の任命権者・雇用者です。
例外として、構造改革特別区域法に基づく認定を受けた市区町村教育委員会が、その市区町村内でのみ有効な特別免許状を授与する場合があります。
どの学校種・教科で授与されるのか
特別免許状は、学校種と教科ごとに授与される「教諭」の免許状です。対象は、小学校・中学校・高等学校の各教科と、特別支援学校の自立教科等です。例えば、中学校理科の特別免許状だけで、高等学校理科や中学校英語を担当することはできません。
有効範囲と有効期限
都道府県教育委員会が授与した特別免許状は、その都道府県内で有効です。別の都道府県で働く場合は、原則として改めて授与を受ける必要があります。現在は有効期限がなく、2022年(令和4年)7月の教員免許更新制の発展的解消に伴い、期限のない免許状となりました。ただし、免許状の期限がないことと、雇用期間が無期限であることは別です。
小学校は教科ごと、幼稚園にはない
小学校の特別免許状も教科ごとに授与されます。例えば、小学校外国語の特別免許状だけですべての教科を担当できるわけではありません。また、幼稚園教諭の特別免許状は設けられていません。
普通免許状・臨時免許状・特別非常勤講師との違い
| 制度 | 主な位置づけ | 担当範囲 | 有効地域・期間 |
| 普通免許状 | 教職課程等で所要資格を得た人に授与 | 学校種・教科等に応じる | 全国・期限なし |
| 特別免許状 | 専門知識経験等を持つ社会人等に授与 | 授与された学校種・教科 | 原則、授与都道府県内・期限なし |
| 臨時免許状 | 普通免許状所有者を採用できない場合に授与 | 助教諭・養護助教諭として担当 | 授与都道府県内・原則3年 |
| 特別非常勤講師 | 教員免許状ではなく、専門家を招く制度 | 教科等の領域の一部 | 任命・雇用ごとに届出 |
普通免許状との違い
普通免許状は、大学等の教職課程で必要な単位を修得するなど、所要資格を得て申請するのが一般的です。全国で有効で、専修免許状・一種免許状・二種免許状の区分があります。一方、特別免許状は教職課程の履修ではなく、社会人等の専門的な知識経験・技能を評価し、教育職員検定を経て授与されます。
臨時免許状との違い
臨時免許状は、普通免許状を持つ人を採用できない場合に限って授与される、助教諭または養護助教諭の免許状です。有効期間は原則3年で、一定の場合は教育委員会規則により6年とすることができます。専門性を学校教育に取り入れる特別免許状とは、制度目的が異なります。
特別非常勤講師との違い
特別非常勤講師制度は、教員免許状を持たない専門家が、教科等の領域の一部を担当できる制度です。免許状は授与されず、任命・雇用する者が都道府県教育委員会へあらかじめ届け出ます。教諭として教科全体を担当する特別免許状とは、役割と手続きが異なります。
特別免許状で教員になるまでの流れ
個人が単独で取りにいく制度ではない
基本的な流れは、①特別免許状を活用する採用選考への応募または学校・自治体への相談、②任命権者等による推薦・授与申請、③都道府県教育委員会の教育職員検定、④特別免許状の授与、⑤採用・赴任です。申請書類、受付時期、審査方法は都道府県によって異なります。
学校・自治体との相談と推薦
まず、勤務を希望する教育委員会や学校法人等に、自身の経験をどの学校種・教科で生かせるか相談します。推薦を受けても授与が確約されるわけではなく、教育職員検定への合格が必要です。
教育職員検定で確認されること
主に、①授与候補者の教師としての資質、②任命権者等の推薦により学校教育を効果的に実施できるか、③第三者の評価、の3点が確認されます。書類審査や面接等を通じ、専門性、社会的信望、熱意と識見などが審査されます。全国一律の共通試験ではなく、具体的な方法は授与権者が定めます。
授与後の働き方と研修・支援
授与後は、推薦した教育委員会や学校法人等に任命・雇用されます。常勤・非常勤・任期付などの任用形態は、免許状の種類だけでは決まりません。採用前後には、教職教養、児童生徒理解、指導計画・教材作成、指導方法等の研修が行われ、学習指導要領、教科書、校務についても勤務校等の支援が求められています。
特別免許状が向いている人
民間企業・専門職経験を教育に生かしたい人
企業、NPO法人、研究機関、大学等で培った経験を、授業や進路指導に還元したい人に向いています。肩書や職歴の長さだけでなく、「どの教科で、子どものどのような学びに生かせるか」を説明できることが重要です。
英語・理科・福祉・看護など専門性が明確な人
文部科学省の授与事例には、外国語(英語)のALT・英会話講師・通訳、理科の研究員・博士号取得者、看護の看護師・助産師などがあります。福祉を含め、専門性が希望する学校種・教科と結びつく場合は対象となる可能性があります。
地域のニーズと接続できる人
特別免許状は採用・雇用を前提とするため、本人の専門性と自治体・学校の人材ニーズの一致が欠かせません。希望地域の採用情報や授与基準を確認し、教育委員会や学校へ相談しましょう。
よくある質問
教員免許状がなくてもすぐ働けるのか
すぐに教諭として働けるわけではありません。任命権者等の推薦、教育職員検定、特別免許状の授与、採用の手続きが必要です。
全国どこでも使えるのか
原則として、授与された都道府県内でのみ有効です。別の都道府県で働く場合は、改めて授与を受ける必要があります。
特別免許状から普通免許状へ進めるのか
一定の条件を満たせば、普通免許状の授与を受けられる場合があります。特別免許状の授与後、3年以上在職し、大学等で所定の単位を修得することが要件です。取得できる普通免許状の種別は専修・一種・二種のいずれかで、学校種や修得単位数によって異なります。自動的に切り替わるものではないため、都道府県教育委員会へ確認してください。
年齢制限はあるのか
文部科学省の指針には、特別免許状について全国一律の年齢上限は示されていません。ただし、教員採用選考の受験資格や任用条件は自治体・学校ごとに異なります。
どこに相談すればよいか
特別免許状は個人での申請ができません。まず勤務を希望する学校の任命・雇用しようとする者(公立学校の場合はその学校を所管する教育委員会、国立学校の場合は国立大学法人、私立学校の場合は学校法人等)に相談するのが入口です。授与基準や検定手続の窓口は都道府県教育委員会であり、文部科学省のウェブサイトに各都道府県の窓口一覧が掲載されています。
教員免許無しから教師を目指す方へ:Teach For Japanという選択肢
特別免許状の制度は、個人が単独で取得を進められるものではなく、学校・自治体との関係が前提になります。「免許取得や制度の活用が難しい状況でも、今すぐ教育現場に関わりたい」という方に知っておいてほしいのが、認定NPO法人Teach For Japan(TFJ)のフェローシップ・プログラムです。
TFJは、教育をより良くしたいという想いを持つ人材を選考・研修し、2年間公立学校の現場へ教師として送り出す教育NPOです。応募時点で教員免許状の有無は問いません。免許を持っていない方は、臨時免許状等を活用して、免許がある状態で赴任します。
詳細は下部の「詳しく知りたい」からご確認ください。
参考:
学校における外部専門人材の活用について(特別免許状及び特別非常勤講師制度|文部科学省
特別免許状の授与及び活用等に関する指針|文部科学省
特別免許状及び特別非常勤講師制度について|文部科学省
教員免許制度の概要(令和4年7月28日版)|文部科学省
学校の先生になりませんか?~「特別免許状」のご案内~|文部科学省
特別免許状に関する各都道府県教育委員会窓口一覧|文部科学省
プログラム紹介|認定NPO法人Teach For Japan
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