大学院で教員免許は取れる?専修免許状の条件と、教職大学院・一般の大学院の違いを解説
- コラム
大学院で教員免許を取れるのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、大学院で取得の中心になるのは専修免許状で、基本的には一種免許状を土台に進むルートです。また、大学院には教職大学院と一般の大学院修士課程があり、学び方や実習の位置づけが異なります。さらに、一部の教職大学院では、免許未取得者が学部の教職課程科目を並行して履修しながら目指せる例外的なケースもあります。

大学院で取れるのは主に専修免許状
文部科学省は、現在、大学院に設置されている教職課程を通じて取得できる免許は、原則として専修免許状だと整理しています。専修免許状とは、普通免許状のうち、大学院修了相当の学修を前提とする区分です。これに対して、一種免許状は大学卒業相当の区分で、大学院ルートは基本的に「一種免許状の上に専修免許状を積み上げる」仕組みだと考えると分かりやすいでしょう。
教職大学院と一般の大学院修士課程の違い

大学院には、大きく分けて教職大学院と一般の大学院修士課程があります。
教職大学院は、文部科学省が位置づける専門職大学院の一類型で、修了すると教職修士(専門職)が授与されます。修了要件は2年以上在学・45単位以上修得で、うち10単位以上は「学校における実習」が必要です。また、必要な専任教員数の4割以上を実務家教員とすることも制度上求められています。ここでいう実務家教員とは、学校現場などでの高度な実務経験を持ち、その経験を大学院教育に生かす教員のことです。
一方、一般の大学院修士課程は、研究指導が中心になりやすく、教育学や教科教育学を学問として深めたい人に向いています。つまり、現場で生きる実践力を高めたいなら教職大学院、研究テーマを深めたいなら一般の大学院修士課程という分け方が、進学先を考えるうえでの基本になります。
こんな人は大学院ルートが向いている
大学院ルートが向いているのは、すでに一種免許状を持っている人です。慶應義塾大学教職課程センターでも、一種免許状を前提に、大学院で必要単位を修得して専修免許状を取得する考え方が示されています。最初の免許を取る場所というより、既にある免許を土台に専門性を高める場所と考えると、大学院の役割が見えやすくなります。専門性を深めたい人や研究と実践を行き来しながら学びたい人にも大学院は向いています。文部科学省は、教職大学院について、学校現場の複雑な課題に対応できる高度な専門性を持つ教員やスクールリーダーの養成を目的としていると説明しています。授業改善や学校改善まで視野に入れて学びたい人には、大学院ルートの価値は大きいと言えるでしょう。
逆に、大学院ルート以外が向いている人
一方で、最短で一種免許状を取りたい人には、大学院以外のルートのほうが現実的な場合があります。文部科学省の「大学院における社会人等の免許取得等に関する基礎資料」では、学部で教職課程を履修していなかった人が大学院から免許取得を目指す場合、大学院科目に加えて学部科目も履修する必要があり、中学校の専修免許状の例では合計83単位が必要だと示されています。あわせて文部科学省は、こうした学習を2年間で両立することは困難だと説明しています。
また、働きながら不足単位だけを埋めたい人は、大学院よりも科目等履修生や通信制大学のほうが合いやすい場合があります。文部科学省の「教員免許状に関するQ&A」では、卒業までに教職課程の単位を取りきれなかった場合でも、すでに修得した単位は無効にならず、卒業大学に学力に関する証明書の発行を依頼し、それを基に都道府県教育委員会に相談して不足単位を確認するよう案内しています。また、不足している単位は、必ずしも卒業大学で修得する必要はなく、同じ校種(教科)の教職課程がある別の大学で修得してもよいとされています。すでに一部の単位を持っている人にとっては、大学院に進学するより、不足分だけを補うほうが進めやすいことがあります。
社会人・現職教員が確認したいこと
社会人や現職教員が大学院を検討するときは、まず取得したい校種・教科が認定されているかを確認する必要があります。大学名だけでなく、研究科や専攻ごとに、どの専修免許状に対応しているかを見ることが大切です。次に、実習の有無と負担も重要です。教職大学院では学校における実習が必須なので、働きながら通う場合は勤務先との調整が欠かせません。さらに、学費、在学年数、教員採用試験との関係も確認したいところです。文部科学省によると、令和7年度(令和6年度実施)の公立学校教員採用選考試験では、大学院在学者・進学者向けの特例を実施している自治体は67自治体ありました。内容は名簿登載期間延長や一部試験免除などさまざまで、全国一律ではありません。
免許取得の先で、自分のビジョンを育てる
教員免許は、教師として教室に立つために必要な大切な資格です。一方で、免許を取得すること自体が、教師としての学びの終着点ではありません。実際の学校現場では、子どもたち一人ひとりの背景や状況に向き合いながら、日々の実践を振り返り、周囲と協働しながら学び続ける姿勢が求められます。
Teach For Japanのフェローシップ・プログラムでは、教員免許の有無にかかわらず、教育に思いを持つ多様な人材を選考し、研修を通じて教師としての土台を育んでいます。自治体との連携のもと、フェローは2年間、学校現場で子どもたちと向き合いながら実践を重ねていきます。
その中で大切にしているのが、「どのような社会を実現したいのか」「子どもたちにどのような学びや環境を届けたいのか」という、自分自身のビジョンと向き合うことです。教師の仕事は、知識やスキルを身につけるだけではなく、目の前の子どもたちの可能性を信じ、自分なりの願いや問いを持ちながら実践を重ねていく営みでもあります。
また、赴任前の研修だけでなく、赴任中も継続的な研修や面談の機会があります。現場での悩みや実践を一人で抱え込むのではなく、同じ志を持つ仲間やスタッフとともに振り返り、学び合えるコミュニティがあることも、Teach For Japanの特徴です。多様な仲間との対話を通じて、自分のビジョンを問い直し、更新しながら、教師としてのあり方を深めていくことができます。
この視点に立つと、免許取得はゴールではなく、教師として歩み始めるためのスタートラインとも言えます。大学院、通信制大学、科目等履修生など、どのルートで免許取得を目指すかは重要です。しかし同時に、「免許を取った後、自分はどのようなビジョンを持って教室に立ち、どのように教師として育っていきたいのか」を考えることも大切です。
Teach For Japanは、教師になることを単なる資格取得や就職先の選択としてではなく、子どもたちと向き合いながら自分自身のビジョンを育て、学び続けるキャリアとして捉えています。免許取得の方法を考える際には、その先にある教室での実践や、教師として成長していく環境まで含めて検討してみてください。
よくある質問
大学院だけで一種免許状は取れますか?
原則として難しいです。大学院で取得の中心になるのは専修免許状で、免許未取得者が一種免許状を目指す場合は、学部の教職課程科目も追加で履修する必要があります。
教職大学院なら免許なしでも先生になれますか?
教職大学院に入るだけでは先生にはなれません。必要科目の履修、教育職員免許状の取得、採用選考は別途必要です。ただし、一部の教職大学院には、免許未取得者が学部科目を並行履修できるコースがあります。
専修免許状は採用や給与で有利ですか?
全国一律には言えません。指導可能な範囲が広がるわけではありませんが、自治体によっては大学院在学者・進学者向けの採用特例があります。
社会人でも大学院を目指せますか?
可能です。ただし、免許未取得者は学部科目の追加履修が必要になることが多く、負担は小さくありません。仕事との両立や長期履修の有無まで含めて検討する必要があります。
まとめ
大学院で教員免許を取ることを考えるとき、まず押さえたいのは、大学院で取得の中心になるのは専修免許状だという点です。すでに一種免許状を持っていて、さらに専門性を深めたい人には大学院ルートが合いやすく、実践を重視するなら教職大学院、研究を重視するなら一般の大学院修士課程が候補になります。
一方で、最短で一種免許状を取りたい人や、不足単位だけを埋めたい人には、学部の教職課程、科目等履修生、通信制大学などのほうが現実的な場合があります。大切なのは、「大学院で教員免許を取るべきか」を一律に考えることではなく、自分の現在地と目的に合ったルートを選ぶことです。
参考URL:
教員免許状に関するQ&A(文部科学省)
令和7年度(令和6年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況等のポイント
教職大学院:制度の概要について(文部科学省)
大学院における社会人等の免許取得等に関する 基礎資料(文部科学省)
教職大学院(文部科学省)
大学院で取得できる免許状の種類と教科 – 慶應義塾大学教職課程センター
免許や資格 – 早稲田大学 大学院文学研究科
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