大学中退から教員免許を取る方法とは?単位を活かす2つのルート
- コラム
大学を中退したから、もう教員にはなれない——そう考えている方もいるかもしれません。しかし結論から言うと、大学中退から教員免許を取得することは可能です。しかも、中退までに修得した単位の多くは、その後の免許取得ルートで活かせるケースが少なくありません。
本記事では、大学中退という状況を踏まえて、単位をどう扱えばよいか、そしてどのようなルートで教員免許取得・教員というキャリアを目指せるのかを整理してご紹介します。
この記事でわかること
- 中退した大学で修得した単位が、その後どう扱われるか
- 大学中退から教員免許を取得する2つのルート
- 免許取得を待たずに教育現場に入るという選択肢
- それぞれの選択肢を比較した際の期間・費用・対象校種の違い
- 大学中退から教員を目指す際に知っておきたい注意点
中退した大学の単位はどうなる?まず「証明書」で確認を
大学を中退すると、それまでに修得した単位が消えてしまうように感じるかもしれません。しかし、単位そのものは記録として残っており、状況に応じて次の2つの場面で活用できます。
1つ目は、別の大学(通信制大学を含む)に編入学する場面です。この場合、出身校から成績証明書・単位修得証明書を取り寄せ、編入先の大学の審査を経ることで、既に修得した単位の一部または全部が卒業に必要な単位として認定される仕組みがあります。
2つ目は、教職課程の単位を複数の学校にまたがって修得し、最終的に免許状の授与を申請する場面です。この際には、教職に関する科目の単位取得状況を証明する「学力に関する証明書」が必要になり、単位を修得した大学等ごとに発行を依頼する必要があります。「成績証明書」や「単位修得証明書」とは異なる書類のため、申請時には注意が必要です。
つまり、大学中退=単位がすべて無駄になる、というわけではありません。まずは中退した大学に成績証明書を請求し、自分がどの科目・何単位を修得しているのかを確認することが最初の一歩になります。
大学中退から教員免許を取得する2つのルート
大学中退という状況から教員免許取得を目指す場合、主に2つのルートがあります。それぞれ対象となる校種や、必要な期間・費用が異なるため、自分が目指す校種や状況に合わせて検討することが大切です。
①編入学で中退までの単位を引き継ぎ、教職課程を修了する
もっとも一般的なのが、通信制大学などの教職課程に編入学し、中退までに修得した単位を引き継ぎながら、残りの単位を修得して普通免許状の取得を目指す方法です。
編入学できる年次は、大学の在籍期間と修得単位数によって決まるのが一般的です。多くの大学では、4年制大学に2年以上在学し62単位以上を修得している場合に3年次編入、1年以上在学し31単位程度を修得している場合に2年次編入を認めています。教員免許取得を目的とした通信教育課程を70年以上運営してきた佛教大学でも、短期大学卒業などの条件を満たす場合に62単位を一括認定したうえで教育学科へ3年次編入し、卒業と同時に免許取得を目指せる仕組みが用意されています。
編入学が認められれば、1年次からやり直すよりも短い期間・少ない学費で教職課程を修了できる可能性があります。ただし、認定される単位数や編入できる年次は大学ごとの審査に基づくため、出身学部・学科と編入先の学部・学科の関連性によっては、想定より認定単位数が少なくなることもあります。検討している大学に、自分の在籍期間・修得単位数を伝えたうえで、事前に単位認定の見込みを確認しておくと安心です。
この方法は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校など、目指す校種・教科に応じて幅広く対応できる点が特徴です。一種免許状(大学卒業が基礎資格)を目指す場合は学士の学位取得が前提となるため、編入後に必要な単位を修得し、卒業まで至る必要があります。
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②教員資格認定試験に合格する(大学等に通わないルート)
大学に入り直すことなく免許取得を目指せるのが、文部科学省が実施する「教員資格認定試験」です。大学等における教員養成課程を経ていない人にも、教員として必要な資質・能力を有すると認められれば免許取得の道を開く目的で設けられている制度で、大学を中退した学部・学科は問われません。
現在この試験が実施されているのは、幼稚園・小学校・高等学校(情報)の3校種のみです。中学校の一般教科(国語・数学・英語など)は対象になっていないため、中学校の教科担任を目指す場合は①の編入学ルートを検討する必要があります。
受験資格は、高等学校を卒業した者、またはそれに準ずる大学等への入学資格を有する者で、受験する年度ごとに定められた生年月日の基準を満たしていることが条件です。年齢の上限は設けられていません。ただし出願時期・試験日程・受験資格の基準日は年度ごとに変わるため、検討する際は必ずその年度の公式な受験案内で確認してください。
参考:教員資格認定試験|独立行政法人教職員支援機構(NITS)
大学の学費がかからない分、金銭的な負担は編入学ルートより抑えられる傾向にありますが、第1次試験(筆記)・第2次試験(指導案作成・模擬授業・面接等)を突破する必要があり、計画的な準備が求められます。
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免許取得を待たずに教育現場に入るという選択肢
ここまでの2つは、いずれも「まず免許を取得してから教員を目指す」という順番を前提にしたルートです。一方で、免許取得を待たずに教育現場に入るという選択肢もあります。それが、認定NPO法人Teach For Japan(以下、TFJ)が運営する「フェローシップ・プログラム」です。
TFJの応募資格は「高校卒業以上」であることなど数点のみで、大学卒業は必須条件になっておらず、大学中退という経歴も応募の妨げにはなりません。応募時点で教員免許を持っていない場合でも、連携している自治体が発行する臨時免許状(普通免許状を有する者を採用できない場合に、助教諭等の資格を付与する制度)を活用することで、免許を持った状態で学校現場に赴任できる仕組みが整えられています。
TFJが大切にしているのは、教員免許の有無だけでなく、多様な経歴を持つ人材が学校現場に加わることそのものです。実際に、TFJのフェローとして赴任した人材のうち、民間企業等の勤務経験者は81%にのぼり、日本の新規採用教員全体(約4%)と比べても、多様な背景を持つ人材の登用を進めています。また、独自の研修設計により、通常であれば数年を要する教員養成の内容を、短期間で体系的に学べる仕組みも用意されています。中退という経緯を経て、あらためて教育に関わりたいと考えている方にとっても、検討しうる選択肢の一つです。
3つの選択肢を比較
| 比較項目 | ①編入学して教職課程を修了 | ②教員資格認定試験に合格 | ③TFJフェローシップ・プログラム |
| 免許取得のタイミング | 卒業後 | 合格・申請後 | 赴任時に臨時免許状を活用(並行して正式な免許取得を目指すことも可能) |
| 対象となる校種 | 幼稚園・小学校・中学校・高等学校など幅広く対応 | 幼稚園・小学校・高等学校(情報)のみ | 連携自治体・募集要件による |
| 中退までの単位 | 編入学審査により一部・全部を引き継げる可能性あり | 直接は問われない(受験資格を満たせば可) | 直接は問われない |
| 期間の目安 | 編入年次・修得単位数により変動 | 試験対策にかかる準備期間が中心 | 選考・研修を経て赴任 |
※期間・費用は個人の状況や選ぶ大学・学習方法によって幅があります。具体的な内容は、各大学・試験実施機関・TFJの最新の案内を確認してください。
大学中退から教員を目指す際に知っておきたい注意点
- 適用される免許法は入学年度によって異なる:
教員免許の取得に関わる法令(免許法)は複数回改正されており、原則として大学に入学した年度の法令が適用されます。編入学を検討する際は、中退時に在籍していた大学の入学年度と、編入先の大学における単位認定の考え方の両方を確認しておくと安心です。 - 出身学部・学科によって認定単位数が変わることがある:
編入先の学部・学科と、中退した大学の学部・学科の関連性が薄い場合、想定より認定される単位数が少なくなることがあります。 - 特別免許状は自分で取得を目指せる制度ではない:
教員免許に関する情報を調べていると「特別免許状」という制度を目にすることがありますが、これは都道府県教育委員会などの任命権者が、採用を前提に該当者を推薦することで授与される仕組みです。個人が単独で申請して取得できるものではない点には注意が必要です。 - 教員資格認定試験は免許取得のための試験であり、採用試験ではない:
合格後は、公立学校であれば都道府県・政令指定都市の教員採用選考試験、私立学校であれば各学校法人が実施する採用試験に、別途合格する必要があります。
まとめ
大学中退という経歴があっても、教員免許の取得や教員というキャリアへの道が閉ざされるわけではありません。中退までに修得した単位は、編入学という形で活かせる可能性がありますし、教員資格認定試験のように大学等への在籍を問わないルートもあります。さらに、免許取得を待たずに教育現場に入るという選択肢も用意されています。
まずは中退した大学から成績証明書を取り寄せ、自分がどれだけの単位を持っているのかを確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。そのうえで、目指す校種・教科や、かけられる期間・費用に合わせて、自分に合ったルートを整理していくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 大学を中退した場合、修得した単位はすべて無効になりますか?
無効になるわけではありません。編入学の際に別の大学へ単位を引き継げる可能性があるほか、教職課程の単位取得状況を証明する「学力に関する証明書」として、免許状の申請時に活用できる場合があります。まずは出身大学から成績証明書を取り寄せ、修得状況を確認することをおすすめします。
Q. 大学中退から中学校・高等学校の教員を目指すことはできますか?
教員資格認定試験は幼稚園・小学校・高等学校(情報)のみが対象で、中学校の一般教科や高等学校の情報以外の教科は対象になっていません。これらの校種・教科を目指す場合は、通信制大学等への編入学を通じて教職課程を修了するルートが必要になります。
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