スクールカウンセラーになるには|資格要件から仕事内容まで解説
- コラム
スクールカウンセラーになるには、公認心理師や臨床心理士などの資格が必要です。そのうえで文部科学省が定める選考基準を満たし、都道府県・政令指定都市の教育委員会などが実施する採用選考に応募する流れになります。資格の有無だけでなく、心理職としての実務経験も選考のポイントになります。
この記事では、文部科学省などの資料をもとに、資格要件の中身を整理しました。あわせて、資格取得から採用までの3つのステップ、実際の仕事内容や働き方までを解説します。
この記事でわかること
- スクールカウンセラーになるために必要な資格要件(正規の要件と「準ずる者」の違い)
- 資格取得から採用選考までの3つのステップ
- 実際の仕事内容と働き方・雇用形態の実情
- 常勤化に向けた最新の動き
- 学校で子どもを支えるための、もう一つの関わり方
スクールカウンセラーとは|学校における役割
スクールカウンセラーとは、児童生徒の心理面のケアを目的として学校に配置される、心理の専門家です。文部科学省は平成7年度に調査研究委託事業として配置を始め、平成13年度からは国庫補助事業として全国に拡大してきました。
現在は「スクールカウンセラー等活用事業実施要領」に基づいて配置されています。対象となるのは、公立の小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校です。なお、公立高等学校への配置は、全体の配置校総数の1割以内が目安とされています。
主な仕事は、児童生徒本人へのカウンセリングだけではありません。保護者からの相談対応や、教職員へのコンサルテーション(助言)も担います。いじめ・不登校などのケース会議への参加や、教職員向け研修の実施まで、学校全体を心理の専門性から支える役割を持っています。
スクールカウンセラーになるために必要な資格要件
スクールカウンセラーになるための、専用の国家資格はありません。ただし文部科学省の実施要領では、任用にあたっての資格要件が「スクールカウンセラー」と「スクールカウンセラーに準ずる者」の2区分で細かく定められています。実際の採用は、このいずれかの要件を満たすことが前提になります。
「スクールカウンセラー」として任用されるための要件
実施要領では、以下のいずれかに該当する者が「スクールカウンセラー」として任用されるとされています。
| 区分 | 具体的な要件 |
| 公認心理師 | 公認心理師の資格を有する者 |
| 臨床心理士 | 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士 |
| 精神科医 | 精神科医であること |
| 大学教員 | 児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識・経験を持ち、学校教育法第1条に規定する大学の学長・副学長・学部長・教授・准教授・常勤の講師・助教の職にある者、またはあった者 |
| その他 | 都道府県・指定都市教育委員会等が、上記と同等以上の知識・経験を有すると認めた者 |
「スクールカウンセラーに準ずる者」として任用されるための要件
上記の資格を持たない場合でも、任用される道が用意されています。以下のいずれかに該当すれば「スクールカウンセラーに準ずる者」として任用の対象になります。
| 区分 | 具体的な要件 |
| 大学院修了 | 大学院修士課程を修了し、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務について1年以上の実務経験を有する者 |
| 大学・短期大学卒業 | 大学・短期大学を卒業し、心理業務または児童生徒を対象とした相談業務について5年以上の実務経験を有する者 |
| 医師 | 医師で、心理業務等について1年以上の実務経験を有する者 |
| その他 | 都道府県・指定都市教育委員会等が、上記と同等以上の知識・経験を有すると認めた者 |
どちらの区分で任用されるかによって、求められる実務経験の年数が変わります。志望する自治体ごとに募集内容が異なる場合もあるため、詳細は必ず募集要項を確認しましょう。
スクールカウンセラーになるための3つのステップ
資格要件を踏まえると、スクールカウンセラーを目指すルートは、大きく次の3ステップで考えることができます。
ステップ1|心理学を学べる大学・大学院に進学する
公認心理師・臨床心理士のどちらを目指す場合も、まずは大学の心理学系学部で指定科目を履修する必要があります。公認心理師の場合、学部で必要な科目を修めたうえで、大学院に進むルートが基本です。
ステップ2|公認心理師または臨床心理士の資格を取得する
学部の必要科目を修了したあと、公認心理師を目指す場合は大学院で必要な科目を修め、国家試験に合格します。法律で定められた実務経験を積んで受験資格を得るルートもあります。臨床心理士を目指す場合は、指定された大学院を修了したうえで、資格試験に合格する必要があります。
ステップ3|教育委員会等の採用選考に応募する
資格を取得したら、勤務を希望する都道府県・政令指定都市の教育委員会が実施する採用選考に応募します。多くの場合、会計年度任用職員としての採用です。選考では資格の証明に加えて、心理臨床の実務経験や面接が重視される傾向があります。募集時期や必要書類は自治体ごとに異なるため、志望する地域の教育委員会が公開する募集要項を直接確認することをおすすめします。
スクールカウンセラーの仕事内容
学校現場でのスクールカウンセラーの主な業務は、次のように整理できます。
- 児童生徒本人へのカウンセリング(面談による相談対応)
- 保護者からの相談への対応
- 教職員へのコンサルテーション(対応方針の助言)
- いじめ・不登校・虐待などのケース会議への参加
- 心理検査などによるアセスメント
- 教職員向けの研修・講話の実施
- 危機対応(事件・事故発生時の心のケア)
参考:スクールカウンセラー業務ガイドライン|神奈川県教育委員会
児童生徒への直接支援だけでなく、教職員や保護者を含めた学校全体を、心理の専門性から支える役割を担っている点が特徴です。
働き方と収入の実情
スクールカウンセラーの多くは、教育委員会に雇用される非常勤の会計年度任用職員です。週に数日、複数の学校を掛け持ちしながら勤務する働き方が中心になっています。文部科学省の実施要領には、1校あたりの標準的な配置時間の目安が示されています。ただし実際の勤務日数・時間や報酬水準は、自治体や雇用形態によって差があります。
具体的な報酬額は自治体の予算や募集要項によって異なり、年度によっても変わり得るものです。そのため、この記事では断定的な金額は掲載していません。志望する地域の教育委員会が公開している最新の募集要項で、報酬・勤務時間・雇用期間を直接確認するようにしてください。
スクールカウンセラーの常勤化に向けた動き
スクールカウンセラーの配置は年々広がってきました。一方で、現状は非常勤が中心で、1校あたりの配置時間が限られていることが課題として指摘されています。
文部科学省が日本臨床心理士会に委託した令和5年度の調査研究では、配置時間が長い学校ほど効果が高まる傾向が報告されました。具体的には、いじめや長期欠席への対応、教職員のメンタルヘルス支援において、良い影響が見られたとされています。
参考:スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究(概要版)|日本臨床心理士会
この結果を踏まえ、国や自治体では、配置時間の拡充や常勤化に向けた検討が進められています。今後、資格を持つ心理職が、より長い時間学校現場に関われる環境が整っていく可能性があると考えられます。
学校で子どもを支える、もう一つの関わり方
スクールカウンセラーは、心理の専門資格を土台に子どもを支える仕事です。一方で、教員免許の有無にかかわらず、多様な経歴を持つ人材が学校現場に加わり、教師として子どもの成長を支えるという関わり方もあります。
認定NPO法人Teach For Japan(以下、TFJ)が運営する「フェローシップ・プログラム」は、教員免許の有無を問わずに選考を行う取り組みです。独自の研修を通して教師としての資質・能力を育んだうえで、自治体と連携しながら臨時免許状等の仕組みを活用し、2年間、学校現場に人材を送り出しています。2025年度に赴任したフェローのうち81%は、民間企業等での勤務経験者です。これまでとは異なる経歴や専門性を学校現場に持ち込むことで、教育現場の多様性を高めることを目指しています。
参考:Teach For Japan インパクトレポート2025
フェローシップ・プログラムの募集要項や説明会の情報は、フェロー採用ページから確認できます。
心理職としてスクールカウンセラーを目指す道と、フェローとして教壇に立つ道は、必要な資格も学校での役割も異なります。ただし、どちらも「学校という現場で、子どもの育ちに関わりたい」という思いから選べる選択肢である点は共通しています。
学校に関わる仕事の全体像をもっと知りたい方は、公教育に関わる仕事とは?教師以外も含む仕事の種類と、自分に合う関わり方もあわせてご覧ください。教員免許を必要としない学校の仕事という観点では、スクールサポートスタッフとは?仕事内容・なり方・教員との違いを解説も参考になります。
よくある質問
Q. 資格がなくてもスクールカウンセラーになれますか?
文部科学省の実施要領には、公認心理師や臨床心理士などの資格を持つ「スクールカウンセラー」という区分があります。それに加えて、大学院修了後1年以上の実務経験があるなど、一定の条件を満たす「スクールカウンセラーに準ずる者」という区分も設けられています。ただし、いずれの区分についても、資格や実務経験の要件そのものが免除されるわけではありません。
Q. 公認心理師と臨床心理士、どちらを目指すべきですか?
公認心理師は国家資格、臨床心理士は民間資格という違いがあります。ただし、いずれもスクールカウンセラーの正規の資格要件として認められています。志望する大学院のカリキュラムや、将来のキャリアの幅を踏まえて検討するとよいでしょう。
Q. スクールカウンセラーは常勤(正社員)として働けますか?
現状は非常勤の会計年度任用職員として、複数校を掛け持ちする働き方が中心です。前述のとおり常勤化に向けた検討は進められていますが、実施状況は自治体によって異なります。志望する地域の状況を確認することをおすすめします。
まとめ
スクールカウンセラーになるには、公認心理師や臨床心理士などの資格を取得することが出発点になります。そのうえで、文部科学省の実施要領が定める要件を満たし、教育委員会の採用選考に応募するという流れが基本です。資格取得までの道のりは決して短くありませんが、子どもの心を専門性から支えられる、学校に欠かせない仕事の一つといえます。
学校で子どもの育ちに関わる方法は、スクールカウンセラーだけではありません。自分の経験や専門性を、どんな形で学校現場に活かせるか、進路を考えるきっかけにしてみてください。
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